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2008年08月23日

遠藤雅伸氏インタビュー「ゼビウス開発秘話」について

今回はゼビウスを作った遠藤雅伸氏のお話。


資料は以前少しだけ掲載した1998年発行の「このゲームがすごい!任天堂編」の「僕がゼビウスを作った理由」より。



知っている人は今回の記事はスルーしていただいて、知らない人はゼビウスの製作秘話くらいは知っておこう。・・・私を含め。



「『ゼビウス』の企画が動き出した当時は、ちょうどスクロールするゲームっていうのが出始めたくらい。ちょっと前に出たのが、横スクロールで、上下方向に弾を撃つシューティング『スクランブル』だった。結局、アレを作ろうよっていうことでスタートしたのが『ゼビウス』だったんです。」

最初に縦シューでスクロールした作品はゼビウスってことは以前書いたけど、『スクランブル』を手本にしていたとは。そう考えると確かにスクランブルの対地対空の2種類のショットはゼビウスに引き継がれている。これはいきなり大事なとこやね。


スクランブル

「スクロールする、2つのボタンを使うゲームをというマーケティングの要求から開発がスタートしたゲームなんですよ。つまり、ナムコが全力を注いだ作品とか、話題作とか、野心作ではなくて、大作の間を埋めるB級、C級作品だったわけです。もちろん、そんな作品だったからこそ、プログラムも書けない、ついこの間まで学生だった僕のところに回ってきた」

記事によると、入社当初、開発部に配属された遠藤氏は「アセンブラ」の意味も知らず、あきれた上司から「お前は遊んでろ」と言われ、ひたすら開発中のゲームのデバックばかりやっていたとのこと。・・・よく入社できたよなー。


「そもそも、そんなぺーぺーのところにどうして回ってきたかというと、別に僕が企画を出したわけでもないんですよ。これは内輪の話なんですけど、当時、最初に『ゼビウス』の仕事をしていた人がどんどん辞めていって、さらに上司が替わったり・・・。とにかく開発チームがグチャグチャになったんですね。」


ゼビウスはもともと遠藤氏が企画したのではないという衝撃の事実がここに。


「で、会社的にもあまり期待されてない作品だったんで、『やめる?続けるんなら勝手にやっていいけど』と。それで、『やっていいんなら、僕がやりますよ』って(笑)。プログラムなんてまったく知りませんでしたよ。ただ、デバックやっているうちに、これは勉強したほうがいいなとは思っていました。で、『ゼビウス』をやることになって、一気に勉強した。ひと月ぐらいで覚えましたね。」


ひと月で覚えられるものなんすかプログラムって。すごいですな。


「メインになって作ったチームは5、6人でした。グラフィックも素案は自分で書いて、制作期間は1年くらい。上司も好きにやっていいよというスタンスでしたから、現場は基本的に無責任な状況でしたね。だって、『スクランブル』のあとに『ミッションX』と『ザクソン』が出てますから。どっちも、ウリは横スクロールで2つボタンでしょ。だから、開発中の『ゼビウス』なんて、ナムコ的にはどうでもいいんですよ。でも、どうでもいいから好きにやれた。」

「どういう話にするかは決まっていた。というのは、ゲームだからといってキャラクターが出てきて、しかもどんどんやられていくっていうのは絶対ヘンだと思っていたから。そこで、この敵はこういうつながりで出てくるんだってプロットを作って、それをつなげ、兵器の進化、武器開発小史みたいなのを作っていったら、自然とストーリーが固まっていった。ゲーム世界の中で何を目的に開発された兵器か。弾を他方向へいっぱい出すタイプだったり・・・。」


ゼビウスの凄いところは、いままでのゲームにはなかった世界観がしっかり設定されていること。そしてそれまでのシューティングのように敵キャラが決まったコースに沿って飛んでやられていくというのはないこと。それぞれがそれぞれの性能、性質に基づいて飛んでいくというもの。当時は斬新。


「あとは、敵が前に並ばないということですね。これは当時のゲームの常識から考えると画期的だったと思う。なんでもそうなんですけど、当時はブロック崩しが基本だったんですよ。画面のモノを消していくのがゲームだった。『インベーダー』にしても『パックマン』にしても。あるものを消していくでしょ。」

「でもね、どうみたって撃たれてるってわかっている敵が、列を組んで待っている状況はあり得ないんで。敵も生き延びたいんだというところを出したかったんです。だから、『ゼビウス』では、唯一の例外をのぞいては体当たりをしないし、打ち落とされやすい位置にはできる限りいかない。ただ、ゾシーってヤツだけが突っ込んでくるんですよ。あれは人が乗ってないんで(笑)。」



>列を組んで待っている状況はあり得ないんで
遠藤氏はギャラクシアンなどの固定画面STGと比較しているみたい。まあ、縦スクロールSTGの比較対象が無いんだからしかたがないか。



試作品の完成、社内デバックの開始


「凄かったですよ。面白いという人と、ダメだよねって人と真っ二つ(笑)。隠れキャラのソルなんて、ムチャクチャ怒られましたもの。こっちはパレットチェンジでカラーが変えられるから照準を光らせよう。照準が光るなら索敵ができるなと。索敵ができるなら、見えない敵の方が面白い。でも見えないままじゃしょうがないから出てくる。そんな程度の軽い気持ちで入れてみたのに、『シューティングゲームは、目標を撃つということに爽快感があるのだから、目標が見えないようでは爽快感が生まれない』って。」


遠藤氏のたぐいまれなる才能によってゼビウスが完成。
上司が好き勝手やっていいよといっていたわりには隠れキャラ「ソル」について遠藤氏がかなり怒られたみたい。話が違うじゃん上司。たぶん、あまりにもゼビウスが完成されてたから、「これは売れる!」って思ったんだろうなと。上司なんてそんなもんさ。


「だから、『御説はごもっともです。やめましょう』と答えておいて、そのままにしておいた。どうせ、見えてないしね。ところが、また別のチェックの時に『出るっていうじゃないか?』と問い詰められてね。『いや〜直したつもりだったんですけどね。バグですね』とバックレたり・・・。そしたら、デバックの人たちが掘るのに夢中になって、ココにもあったぞ、ココにもあったぞと。しだいに『バグにしちゃ面白い』と空気が変わってきた。で、結局、上が折れて、『遠藤、面白いの分かった。分かったから、何本埋めたのかちゃんとレポートを出してくれ』と。」


ソルについては賛否両論だったようです。
記事によるとゼビウス以降、隠れキャラはゲームのメインストリームとして一時代を築いたとあります。ゼビウスときくと、初の縦スクロールSTGというイメージばかりが大きいですが、隠れキャラという新しい楽しみをも発掘した作品だったのか。そういえば、当時、ソルって結構話題になってたよなーと。


「これはずっと後になってから聞いたんですけど、『ゼビウス』を出してからしばらくして、ハドソンさんのゲームの企画書に隠れキャラという項目が生まれたそうですから。でも、広い意味のゲームにとってはよくなかったですね。悪しき影響を与えてしまったと思ってます。」

遠藤氏の言いたいことは分かる。
世界設定をなにより重要に考えた遠藤氏は、隠れキャラというお遊び的な要素を取り入れたことによって、ゲームの世界観を損なう恐れがあることを好ましくないと考えたのだろう。

このあとゼビウスのBGMのお話になっていきます。
オリコン初登場19位を記録し、ゲームミュージックというジャンルの成立に大きな役目を果たしたとある。

「あれはやっぱりね、真剣にゲーム音楽を作るという最初の人が手掛けたからじゃないですか。僕と同期で入った女性で、東京芸大を出ていてマジメに音楽をやってきた人。僕も音楽できる方だったんで、『ダメ。もっとキラっとした感じ』とか、『ボーンじゃなくて、チャラっとした無機質な感じ』とか話し合いながら作っていった。その結果、爆発音にしてもそれまでのゲームとはひと味違うものになった。」


これ以降は『ゼビウス』で名を上げた遠藤氏が最初に企画段階からかかわった作品である『ドルアーガの塔』に移っていきます。ここも面白いんだけど、ハショります。


遠藤氏にとって面白いゲームとは?

「導入が容易である。難易度の設定が適切である。操作感、スピード感がプレーヤーにマッチしている。それくらいですね。やってて、めんどくさくなっちゃうゲームは、それでおしまいなんですよ。歴史シミュレーションみたいに、プレーヤーに複雑な操作をのみこませ、さらに特定の知識を強いる類のゲームとか。好きな人のための三角木馬と同じですよ(笑)。マゾの人が自ら虐められるためにプレイするようなもの。とにかくダメなのは、自分で動かしている感じがしないゲーム」

すげえ。
ここまではっきりと歴史シミュレーションを否定するとは。こんだけ主観意見を述べられると逆にすがすがしい。しかし私は好きだ。これでいい。どのジャンルが好きかなんて人それぞれなんだから。遠藤氏は自分の意見をはっきり言っただけである。コーエーにとっては天敵な人物かもしれない(笑)。


「ゲームって総合芸術、アートだと思う。映画や演劇と同じ。音があって絵があってさまざまな要素が複雑にからみあってる。ゲームもパッケージングされて一つの作品、アートになってるという考え方でやってます。自己表現という感じで作ってます。だから、出してみてヒットしなくても全然OKですよ(笑)」


総合芸術といわれてみればそうなのかもしれない。
シナリオ、絵、音楽などをはじめとして、ゲームジャンル、ゲームシステムその他もろもろがからみあって作品(アート)が出来上がるわけだ。こんな感じでしめくってみました。ゼビウスのことをもっと知りたい人は小説「ファードラウト」を見てみるといいのかも。

おしまい


おまけ

遠藤雅伸氏が独立(ゲームスタジオ)してから製作した関連作品リスト
注1997年まで

1986年
ホッピングマッピー(アーケード、ナムコ)
イシターの復活(アーケード、ナムコ)
機動戦士Zガンダム ホットスクランブル(FC、バンダイ)

1987年
ウィザードリィ1(FC、アスキー)

1988年
ファミリーサーキット(FC、ナムコ)
カイの冒険(FC、ナムコ)

1989年
ウィザードリィ2(FC、アスキー)
ケルナグール(FC、ナムコ)

1990年
ウィザードリィ3(FC、アスキー)

1991年
いただきストリート(FC、アスキー)
ファミリーサーキット91(FC、ナムコ)
ワールドサーキット(PCE、ナムコ)

1992年
ウィザードリィ外伝1(GB、アスキー)
ドルアーガの塔(PCE、ナムコ)
ウィザードリィ5(SFC、アスキー)

1994年
ザ・ブルークリスタルロッド(SFC、ナムコ)
スーパーファミリーサーキット(SFC、ナムコ)

1995年
ウィザードリィ6(SFC、アスキー)

1996年
エアーズアドベンチャー(SS、セガ)

1997年
忍者じゃじゃ丸くん鬼斬忍法帖(PS、ジャレコ)




この記事へのコメント
>ポッピングマッピー
>ファミリーサーキッド
>ファミリーサーキッド91
>ワールドサーキッド

作品名間違いすぎですよw
Posted by at 2008年08月24日 10:31
>名無しさん
こりゃ失敬。ツッコまれるまで気がつきませんでした(汗)。訂正しときます。誤字が多くて申し訳ありません。ありがとうございました。
Posted by ふうのしん at 2008年08月24日 13:17
「ゼビウス」を手掛ける前は、プログラムに関しては本当の素人だったというのか……やはり並の才能じゃないなあ^^;

今でこそ当たり前になっている「隠しキャラ」の存在ですが、個人的には悪影響よりも良い影響の方が大きいような。
この発想がなかったら、生まれていなかったであろうゲームも多々あるでしょうし。


今回の記事も楽しませて戴きましたw
Posted by じぇふ茶 at 2008年08月25日 01:16
ゼビウスと言えばファードラウト伝説。
結局ファードラウト伝説の次回作に当たる最終作は企画倒れしちゃったんですよね。
今から出してくれないかなぁw
Posted by ルカ at 2008年08月25日 03:03
どこまでの範囲の話かはわかりませんが
「どういう話にするかは決まっていた。」
っていうのは実は嘘らしいですよ。
CSのゲーム番組に出演した時に
遠藤さん自身がサラッと漏らしてました。
当時の宣伝戦略だったみたいです。
Posted by nekomantle at 2008年08月27日 03:15
偉大な人ではあるがこの人の才能はもう枯れてる
Posted by at 2008年08月27日 10:29
>じぇふ茶さん
ジャンルによっては違和感が生まれる作品もあるとは思いますが、私も隠れキャラについては肯定派っすね。それが当時の楽しみ方の一つだったですから。ある特殊な条件で隠れキャラを登場させたときの達成感は忘れられない良い思い出です。

>nekomantleさん
うお!貴重な情報ありがとです!
確かに販売戦略として事実よりもドラマティックに演出するというのは有りそうですね。

>名無しさん2
確かにあんまり遠藤氏の話題聞かないですね。iアプリのゲーム作ってるってファミ通に載ってたのみてそれ以来聞かないっす。
Posted by ふうのしん at 2008年08月27日 17:14
http://profile.ameba.jp/evezoo/

遠藤氏のブログを見る限りですとやはり携帯アプリのゲームを多数作られている感じですね。

誕生してから20年以上経つのに未だにネタになるゼビウスとかドルアーガとかを生み出したというのはやはりスゴイんだなぁと思いますねぇ。
Posted by マイサイドカー at 2008年08月28日 23:20
>マイサイドカーさん
遠藤氏がブログやってるの知らなかったので情報ありがとです。やっぱり携帯アプリ方面の仕事やってるみたいっすね。次世代機の作品はもう作らないのかなあ・・・
Posted by ふうのしん at 2008年09月01日 15:07
YouTubeに前述の話が挙がってましたのでアドレス入れときますね。
6:30辺りからです。
Posted by nekomantle at 2008年09月05日 03:04
今遠藤さんが最近かかわってると言えば、ゴンゾロッソさんのオンラインRPG「ドルアーガの塔〜the Recovery of BABYLIM〜」ぐらいでしょう。
http://www.4gamer.net/games/029/G002948/20080730035/
ただ、携帯ゲームもたしか最近ペ・ヨンジュンが投資してるゲーム会社と共同でゲーム製作してるって話も出てます。
Posted by at 2008年10月05日 06:20
関わってはいるけどゲームを遊んでるだけで製作には全くタッチしてないよ。ゲーム内で本人がそう言ってたんで。
Posted by at 2009年02月05日 22:02
初めまして。

 読んでいて、聞いた事がなかったので調べてみました、ミッションX。
http://spitfire.client.jp/shooting/chronology/chronology_1982.html
 、、、めっさ縦スクロールじゃん^^;
Posted by 木津健介 at 2012年06月01日 01:28
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